英語発音技能検定EP-Pro® って何?特級に合格したので書いてみた

こんにちは。とく教授です。

先日、「英語発音技能検定EP-Pro®」なるもので「特級」に合格しました。「発音に検定なんてあるの・・?」そう思った方も多いかもしれません。この記事では、特級に受かった自分がEP-Proの内容や特徴、メリット、デメリットなどについて書いていきたいと思います。

EP-Pro®とは?

EP-Pro®は、協会のHPによれば「先生向けの発音検定」です。しかし、実際は誰でも受験することができます。また、受験してみての感想ですが、特級以外は指導者としての資質はほぼ問われることなく、1級までは純粋に発音・音読の精度や自然さが評価されます

先生じゃなくてもでもEP-Pro®を受けていいの・・?

「初心者でもEP-Proを受けていいの・・?」

こう思った方もいるかもしれません。受験資格には教員免許などが必要との記載がないので、受けることができます。EP-Pro®は級ごとに難易度が上がるので、自分のスキルチェックにもいいかもしれません。ただし英語発音の試験は「EPT®英語発音テスト」なるものもあるので(ブログ記事)、そちらの受験を検討してもいいのかもしれません(比較したブログ記事)。

受験級(3級〜特級)とその料金

受験級は3級から特級まであります。発音に自信があればいきなり特級を受けられるかというとそうではなく、特級を受けるには3級は飛ばせますが、2級→1級→特級の順に受ける必要があります。特級まで受けるとなんとその総額45,100円(笑)

料金
3級5,500円
2級8,800円
1級14,300円
特級22,000

試験は動画を撮って送る(リテイクし放題)

料金を支払うと、ページに試験問題が現れます。その文を音読した動画を撮るように言われ、期日までの提出が求められます。リテイクし放題なのが嬉しいところ。ちなみに特級を受験したときは、日本語での説明を求められたので、それの取り直しが多く準備を含め3時間くらい取り直しました。「結果が返ってくるには10煮に前後かかる」と協会のHPには記載がありますが、私は7日程度で結果が返ってきました。

受けてみた感想

一言でいうと、「フィードバックはかなり正確だが、試験内容やフィードバックの方法に少しクセがある」と思います。

問題にクセがある

2、1級ではフォニックスの文を読み上げるように言われます(動画参考)。私はこのような読み方を正直知りませんでした。また「アルファベットを名前読みで・・」という指示があったのですが、「名前読み」なるものも知りませんでした。ただこれはググってみると、アルファベットをエイ、ビー、シーと普通に読むという意味らしいです。英語の発音を教える際にフォニックスを用いてる先生方がどのくらい多いのかは分かりませんが、そのようなやり方を知らない方はちょっとつまずくと思います。アルファベット読みをしてしまうと大減点になると思うので気をつけて下さい(笑)

例えば最初の「A says a, a, apple ….」のA「エイ」/eɪ/の発音が名前読み、a, a 「アッ、、アッ、、」(多分発音記号は/æ/)というのがアルファベット読みらしいです。恐らく名前読みは普通(?)読む読み方、アルファベット読みは発音記号にして読む(?)読み方みたいですが、私は個人的にはフォニックスはレッスンで採用していません。理由はいつか述べます。

フィードバックは正確だがクセがある

おそらくネイティブもしくはネイティブレベルに英語がききとれる方が試験を評価しているのだと思います。とてもフィードバックは正確で、私もname、rabbitなどの基本的な単語を違う方法で発音してしまっていることを指摘していただけ、学習の参考になりました。

「クセがある」といったのは以下のような意味です。EP-Pro®は発音記号をあまり採用しておらず、アルファベットのまま指摘が行われることがあります。例えば私であれば

「worldの音、wau」のようにきこえます。」との指摘がありました。個人的には「/ɜːr/の発音が/aʊ/のようにきこえます」と指摘していただいたほうが分かりやすかったです。

また「減点箇所、name: a_e の音。二重母音 /ei/ です。」との指摘があったのですが、この二重母音の記号はIPA(音声学)に基づくのであれば正確には誤りです(/eɪ/が正しい)。他にも、発音記号を用いて学習している私にとっては初見ではピンとこない指摘がいくつかあったので、もしかしたら3級レベルを受ける、初心者の方はコメントの意味を読み取ることができないかもしれません。

音声学用語もちょいちょい間違ってる

音声学をかじっている私としては、ちょいちょい気になる所があります。例えば

I like an apple.

という文章をがあったとき、「アン アッポー」のように、anとappleで一旦切るのではなく「アナッポー」のように文になったときに単語間の「子音+母音」をつなげて読むことはリンキングといいますが、協会ではそれをリエゾンと言っています。しかし、本来リエゾンというのは「発音されない子音が復活する」現象のことを指します。つまり、イギリス英語(語尾の/r/は発音されない)で

There is …

という文があったとき、単語単語で区切って読むと「ゼアイズ」/ðeə ɪz /と /r/の音が読まれないですが、文では区切らずに読まれてアメリカ英語のように「ゼアリズ」とRの音が復活する場合があります。これ(発音されなかった子音の復活)がリエゾンです。つまり、In Osakaを「インノーサカ」のように語間でもともとある子音+母音を、文になるとつなげて読むことをリエゾンというのは間違いです(ちなみにリエゾンはフランス語においてよく見られる現象らしいです)。ついでに言えば、、語間で子音+母音をつなげて読むことをリンキングとすら呼ばない、、という言語学者もいるくらいですが、、そこまで議論してしまうと生徒さんにとって話がややこしくなるので私は「リンキング」という言葉を発音セッションに用い、「リエゾン」という言葉はイギリス英語のRの復活にしか用いません。この詳細な議論についてはいつか記事で述べるかもしれません。

EP-Proの評価方法は指導者向け!

なぜこう思ったかと言うと、フィードバックに「指導者としての国のアクセントの一貫性」についての言及があったからです。というのは、私はアメリカ英語で英語を発音するのですが、イギリス英語の方法、つまりyearsのrを発音しなかった部分があったので減点がされていました。この点、rを抜かしたところで発音自体が間違っているわけではないのでコミュニケーションには問題ないはずですが、「指導者という立場からいうと一貫してアメリカ英語にした(rを発音)ほうが親切」、というアドバイスをいただきました。なので、指導者向けに作ってあると思います。このへん、カナダ英語とかオーストラリア英語で試験を受けたらどんなフィードバックが来るのかが個人的に気になります(笑)

ところで、私が受かった「特級」では、以下をレベルの目安とし、

・大変優れた発音スキル及び指導力を身につけている
・プロへの発音指導ができる
・ネイティヴスピーカーよりも細やかな指導ができる

EP-Pro「各級のめやす」

以下の合格基準を設けています。

・指導者として、発音指導の重要性を理解している。
・日本人には難しいとされる英単語の発音が正しくできる。

EP-Pro「各級のめやす」

「特級」というなんかスゴそうな級に受かったのは普通に嬉しかったです笑

Tags:

Comments are closed